Lawless Area

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Dental Battle 〜仁義なき戦い〜


時は遡ること約1年と半年前、話は左下の奥歯がしみることに耐えられなくなり行きつけの歯医者に駆け込んだところから始まる。

ただの虫歯だろう、削ればすぐ良くなるだろうと高をくくっていたところ、先生の診断は「親知らずと奥歯の間に虫歯があるね、抜くしかないね」というものだった。

というのも、私の親知らずは私に似て真っ直ぐ育たなかったらしく、歯茎に対して水平に生えており、隣にある奥歯を圧迫していたのだ。

このタイプの親知らずのことを、どうやら「水平埋伏知歯(すいへいまいふくちし)」と呼ぶらしい。微妙に格好良いじゃんと思ってしまった辺りに私のこじらせ具合が伺える。



しかし、そんな格好良いなんてバカなことを言っていられるほどそう単純な問題ではなく、何せ水平だもんでスポッと抜くことができない。

除去するためには「歯茎を切開」して「歯を3つにかち割って」から「1つずつ取り除く」必要があるというのだ。ただの手術やないかい。

歯医者のこの無慈悲な言葉に、目の前が真っ暗になったのは言うまでもない。



そして何日か経ち、心の準備が未だにできないまま歯医者にて摘出手術(?)が行われたのだが、かかった時間は2時間という長時間。

しかもそれで終わりではなく、血が全然止まる気配を見せず、延々溢れてくるため再び歯医者に舞い戻り止血にかかった時間1時間強。

計3時間親知らずに時間を取られてしまった。

このあと、顔がクレヨンしんちゃんのように腫れたり、1週間ほどウィダーインゼリー様のお世話になって5キロ痩せたり、血が滲み続けてうんざりしたりと色々あったのだが、時間の経過と共に症状はどんどん和らいでいった。



が、これで終わると思ったら大間違い、ここからその隣にあった奥歯に苦しめられることになる。

親知らずという支えを失ったからなのかなんなのか、アイツとはそんなに仲が良かったのだろうか、奥歯の野郎、悲しさを表さんがばかりに冷たいものが尋常じゃないくらいにしみるのだ。

主治医曰く「奥歯の神経が高ぶっているのではないか」とのことなので、何度も通いその都度微調整していただいたのだが奥歯の野郎、いっこうにデレやしない。

主治医もこの奥歯のガンコさに根負けしたのか、主治医も難色を示していた最終奥義である「神経抜き」を選択肢に提示してきた。

私もいい加減疲れてきていたのでこれを承諾し、4ヶ月に渡って続いた親知らずと奥歯との強力タッグに勝利することができた。



                   〜10ヵ月後〜

奴が帰ってきた。

神経を抜くという荒業により、奥歯との戦いに勝利したかのようにみえたのだが、なんとこの野郎、性懲りも無くまた自己主張が激しくなってきたのだ。つまり痛い。

硬いものをこの奥歯で噛もうとすると、尋常じゃなく痛い。自然右の奥歯でのみ噛むようになるわけだが、そうするとゆくゆくは顔が酷く歪んであだ名が「三日月」になってしまう。

そんなのはゴメンなので、今回は大人しく歯医者にすぐに行ったところ、主治医曰く「噛みあわせの問題ではないか」とのこと。

少し調整してもらっただけで、痛みがなくなったので今回は事なきを得たのだった。



となればどんなに良かったことか・・・。

もちろんしばらくは痛みが引いたのだが、また痛みがぶり返し、歯医者に行き調整してもらい、痛みが引き・・・をもう2回繰り返した。

しかもそれだけでは済まず、調整が終わってもう来なくて良いですよと言われた翌日くらいになんと神経を抜いた時にした詰め物が取れたのだ。

パンケーキ的な物を食べていただけで取れるなんてどれだけ接着が甘かったんだよ!異物混入かと思って一瞬焦っただろ!と思いながら歯医者に駆け込んで、カポッとはめてもらって今度こそこれでお終い。やっと解放されるとひと安心。



したかった・・・。

これ、嘘っぽいが全部ノンフィクションである。

またしばらくして痛み出し、一昨日に至ってはビールを飲んだせいなのかなんなのか、黙っていても激痛が走るくらい痛み出したではないか。

もうこうなると精神は病み病みの実、能力はひたすら疑心暗鬼状態となってしまうわけで、歯医者がいけないんじゃないかと思い歯医者を変えることに。

中々に評判の歯医者という歯医者に本日行ってきたのだが、そこで知らされた事実はあまりにも残酷なものだった。



曰く、そもそも親知らずは他の歯を圧迫する事はない。

曰く、親知らずを抜いたことで、奥歯の周りのうち親知らずが接着していた部分の骨が無い状態だったのがむき出しとなった。
曰く、その骨が再生することは無く、土台がグラグラの状態である。

曰く、私の犬歯は片方無い状態と一緒なので、通常であれば歯軋りをする時奥歯に隙間ができるが、私は奥歯にモロに負荷がかかる。
曰く、神経を抜いたことで奥歯がその負荷に耐えられなくなっている。
曰く、この奥歯が以前(親知らず治療前)のような健康な状態に戻る可能性は限りなく低い。
曰く、最悪の場合、日常生活を送れるまでに調整するか、この奥歯のことで悩みたくないのであれば抜歯して人工の歯を埋めるかの2択になる。



・・・・・・・・・・・・・・。

素で「は?」って言いたくなったよね。オヤジギャグとか関係なく言いたくなったよね!!

とりあえずは神経を抜く際にした治療が、前の先生の善意によって最小限に止めてあったことが原因という可能性があるらしいので、根の部分の治療をしてみてダメなら・・・という感じらしいのだが。

まさかこんなにも酷い状況だとは思いもしなかった。ビックリしすぎて奥歯が抜けるところだったわ。



かなーり長いこと書いたが、今回当ブログでこの歯との戦いについて書いたのには理由がある。

それは、歯医者選びはかなり慎重にした方が良い、ということである。

当たり前だよキミは本当にバカだな、と一笑に伏す方も多いとは思うが、一応同じ徹を他の方が踏まないようにと思ったため詳細に渡って書いたのだ。

もちろん前の歯医者も悪くは無かったのだが、それは軽い虫歯治療等に限っての話である。

今回行った歯医者はインフォームド・コンセントをかなり徹底していたのが凄く良かったし、その徹底のせいか難解な治療に関してもしっかりしてくれそうという印象を受けた。

治療について詳細に渡り説明してもらったことで、何故自分が今こんなことになっているのかが良く分かり、そのためにどういう治療が必要なのかがわかるので全部を納得した上で治療に臨めるのはとても魅力的だったのだ。

友人曰く、現在歯医者はコンビニの数よりも多いとの事なので、しっかりと情報収集して自分が納得した上で信頼の置ける歯医者に行くことをオススメしたい。