Lawless Area

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夏目友人帳(ネタバレあり)


不景気が、不景気がいけないのだろうか。

ひとたび外に出ると、そこかしこで心に余裕のない人をよく見かける。

目があったり肩がぶつかっただけで口論をしているオッサンと若者、電車の中で泣き叫ぶ赤ちゃんに舌打ちをする人々、お店で店員に大声でクレームをつけている人etc...

世はまさに、大ストレス社会。(ドン!)



とまあ、今流行りのONEPIECEにあやかって、似たような感じで締めて少しでもアクセス数を伸ばそうとするなどというゲスな行為に及んでしまったが、とにかく!本当にここ数年日本人が余裕がないというか妙に疲れている気がする。

かくいう私も多分に漏れず余裕がなくヘトヘトの状態が続いていたのだが、そんな方にお勧めしたいのがこの「夏目友人帳」という作品である。

前々から気にはなっていたものの、一度も見ることなくここまできたのだが、今期にこのシリーズの第4期が始まったのでとりあえず1期の1話を見てみる事に。

で、それからコツコツと見続け、ようやく最新話まで追いつく頃には、「汚いアサ」が「綺麗なアサ」になっていたのだから驚きだ。一体彼に何があったというのだろうか。



さて、別に焦らしたところで右上の閉じるボタンを押されるだけなのでさっさと話すと、この作品、とにかく見ていてとても心が温かくなり癒されるのだ。

まず第1期の無印の場合、主人公である夏目貴志が幼少より人には見えないもの(妖)が見えたことでトラブルにまみれた結果、人と関わることを極力避けており、どこか他人に対して距離を置いている。

そんな折、同じ境遇だった祖母であるレイコが過去に妖と勝負をしその名前を奪い集めた「友人帳」を継いだ事で、レイコと妖との過去を垣間見ることになるのだが、これがどれもこれもいいはなシーサーだから困る。

一人ぼっちのレイコが一見そんなふうには見えないが妖の心を助けている様子に、切なさと温かさが入り混じったなんとも言えない気持ちにさせられたものである。

この無印編、私は個人的に「貴志と妖」がメインテーマとして描かれていると思っている。



そして第2期である「続 夏目友人帳」の場合、無印であったレイコと妖との思ひでは何故かほとんどお送りされなくなり、貴志が妖とのごたごたに巻き込まれる中で、周りの人たちとどのように関わっていくか、というような話が多かった気がする。

今まで「なんか何もない空間に向かって叫んだりジェスチャーしてる変人」と思われ、どこに行ってもぼっちだった貴志が、藤原夫妻に引き取られてから徐々に心を開いてきており、1期より友人との距離も縮まっていっている。

そんな貴志の心の動きがとても丁寧に描かれていて、見ていて思わず「良かったなぁ・・・ウンウン」と頷いてしまうような内容となっていた。

この第2期だが、私は個人的に「貴志と人間」がメインテーマとして描かれていると思っている。



そして第3期である「夏目友人帳 参」の場合、もはやレイコと妖との思ひでなど無かったことになっているのではと錯覚してしまうくらい、その描写が少なくなっていた。

そしてその代わりと言ってはなんだが、今まで散々妖と関わってきたことで妖に強く感情移入する傾向にあった貴志が、人間と妖との間で揺れる様子がしっかりと描かれていたように思う。

様々な妖絡みのトラブルを解決していく中で、徐々に貴志の気持ちが固まっていく様子が丁寧に描かれており、貴志の妖、人間どちらにも等しく優しいところに、なんとも心が洗われたのは言うまでもない。

この第3期だが、私は個人的に「貴志と妖と人間」がメインテーマとして描かれていると思っている。何だか部屋とYシャツと私みたいになってしまった。



そして今期の第4期、というふうにつながってくるわけなのだが、ここまで見る頃にはすっかり心が浄化されていること間違いなしである。

では何がそんなにも良かったのか、やはり一番大きいのは主人公である貴志がとても心の綺麗な、好感の持てる人物だったというところだろう。

貴志が妖、人間どちらに対しても優しく、誠実に向き合うことで、何かトラブルが起きて困っていた妖、人間が最終的には笑顔になり物語が締めくくられる。

そういった「見ていて後味が良くない」という状態とは無縁の演出が、癒しの効果をもたらしてくれるのではないだろうか。



また、貴志もそうだが、登場する妖(良い奴のみ)、貴志の周りにいる人たちも好感を抱けるような妖、人たちばかりなのも良い。

そういう妖、人たちばかりなので、誰も傷つかないとても気持ちのいい話がほとんどだった。そりゃ汚い心も綺麗になるというものである。

あと、個人的には貴志の用心棒こと「ニャンコ先生」や、貴志を慕っている子狐が可愛らしく、いちいち癒されていたような気がする。



というわけで、とにかくこの記事で何回言ったかわからないくらい「癒し」という単語を連発するほどに、この作品は見ていて心が洗われる。

もうこのまま見続けるともしかしたら昇天してしまうんじゃないか、というくらいに毎回毎回どこかで必ず心が洗われる。

現代社会に疲れているような方がいれば、是非1度見てみてもらいたいと思う(特に無印)。とハードルを上げるとちょっと心配なので、気が向いたら見てみてはいかがだろうか。