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ちはやふる(ネタバレあり)


面白いよと薦められ読んだこの作品。少女漫画ということもあり、どっぷりハマるとまではいかないだろうと最初は正直懐疑的だったのだが、読んでみると成る程かなり面白い。

物語は主人公である綾瀬千早を中心に進んで行くのだが、扱っている題材が小倉百人一首で行う「競技かるた」というかなり珍しいものなのだ。

一般的にかるたというと、お正月に少しほろ酔いの状態でのほほんと札を読み、ケラケラ笑いながらおふざけでやるイメージが強い。

しかしこの「競技かるた」はそんな生温いものではなく、もはやスポーツと言っても過言ではないぐらい激しいのである。

そしてそんな激しいスポーツのような競技かるたをやっているのが、モデルばりの美人だってんだから興味がわかないわけがない。

これは少女漫画だからこそ成り立った配役なのだろう。少年漫画ならば確実に主人公は男性だったに違いない。やるじゃん少女漫画。

しかも千早は美人にもかかわらず一切気取っていないため、読者はきっと読んでいてすぐ好きになってしまうはずだ。作者はとても見せ方が上手いと思う。


そんな千早中心のこの作品は、千早が小学生の頃から描かれている。

小学生の頃の千早は“美人のお姉ちゃん”のことが大好きで、それはモデルである姉の千歳が「日本一になること」を自分の夢だと言うぐらいのものだった。

ところが、そんな千早の夢は、福井からの転校生である綿谷新との出会いによって、大きく変わっていくわけである。

彼の祖父が競技かるたの名人ということから、彼もまた祖父と同じ道を歩むことを当然と思っており、それは彼のかるたの腕にも現れていた。

そんな新とふとしたきっかけで対戦することになった千早は、その時に競技かるたの魅力に取り付かれるのだ。

そして、同級生で幼馴染でもある真島太一を巻き込み、3人で大会に出ることで、仲間とやるかるたの楽しさに気付く。

が、そんな想いをあざ笑うかのように、それぞれの事情によって3人はバラバラになってしまう。

かるたを続ける事でいつかまた再会しようという約束を交わして・・・


どうだろう。もう小学生編だけでも読みたくなりはしないだろうか。

でもこれ、2巻の途中までの内容なんだぜ?

このあとすぐ高校生編へと突入するのだが、再会した太一がかるたを軽んじていたり、部活動として立ち上げようにも人数が足りなかったり、新がかるたを辞めていたりと、次から次へと問題が起きていく。

そうやってコンスタントに壁にぶち当たっていく千早を描くことで、読者が飽きる暇を与えないわけである。

しかもその壁一つ一つを千早や仲間たちが乗り越えて行くことで、大きく成長していく様が丁寧に描かれており、見ていてとても気持ちが良い。

また、かるたに対する登場人物の気持ちがかなり熱かったり、やたら名言が多かったりと、少女漫画ながら男性でも大いに楽しめると思う。

ベタな展開ばかりだと言う人もいるかもしれないが、そんなもんは「競技かるた」という題材が札と一緒に一気に吹き飛ばしてくれるはずだ。だから騙されたと思って読んでみ。


ちなみに、これは個人的なことなのだが、読んでいると何となく「ヒカルの碁」を連想してしまう時が何度かあった。悪い癖である。

当然これは単なる考えすぎであり、そんなくだらないことを考えている暇があるのなら、かなちゃんの巨乳に大人しく気を取られていれば良いのだ。

あんなのが目の前にいたら、私なら確実に負けるよね。

嗚呼、こんなゲスでも素直に面白いといえる「ちはやふる」は、本当に凄い漫画だと思うわ。