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たまゆら〜卒業写真〜 第3部 憧−あこがれ−(ネタバレあり)

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本日公開となったこの映画、来場者特典がなくなってはいけないので、もちろん公開初日に行ってきた。

恥ずかしい話だが冬に入ってすぐに風邪を引くというベタ中のベタなことをやってしまったせいで、完全な体調ではなく、咳がまだ出るという状態ではあったのだが、そんなことは関係ない。

普段であれば来場者特典と体調は天秤にかけられる程度だったりする。しかし、今回はそういうわけにはいかないのだ。

かなえ先輩。そう、かなえ先輩の色紙なのだから。

おわかりいただけただろうか、ブログトップにある写真に写りこんでいるカメラ。これは作中でかなえ先輩が使用しているものと全く同じ型番のものである。

更に、ストラップも限りなくかなえ先輩が使用していたものをあちこち探しまわって手に入れ、取り付ける部分の規格が合わないとわかると、何とか合うように多少の工作をして取り付けるレベル。

どうだろう、オブラートに包もうとしても包みきれず破けてしまうくらい気持ち悪くはないだろうか。



そんなかなえ先輩ガチ勢の私にとって、今回の来場者特典は是が非でも「かなえ先輩Ver.」を手に入れたかった(麻音たんVer.と2種類のうちランダム配布となっている)。

今回友人と行ってきたのだが、まず入場時、係りの人に特典が手渡される直前で天に祈りを捧げ、封を開ける前には、


私「今年の運、いや、来年の運全部使っていいからかなえ先輩お願いします(必死)」
友人「そ、そんなにか・・・」


といったやり取りをする始末。

そしてまず友人が自分から開けると言ってくれたので(かなえ先輩だった場合、くれようとしていたようである)、固唾をのんで見守ったところ「麻音たんVer.」が顔を出し一言、「すまん」。

そして満を持して私の番、恐る恐る封を開け中を確認すると、そこには可愛らしくも優し気な瞳でこちらを見つめている・・・麻音たん・・・。

その場で天を仰ぎ、背もたれに寄りかかるキモオタが一人。私の来年の運はそんなにも無かったのか、薄幸の微中年にもほどがある。

本来の目的は映画だったはずなのに、開始前にえげつないほどに気持ちが萎えてしまった私、本当にどうしようもない。



だがしかし、時は2015年。インターネットはかなりの発達を遂げており、手のひらサイズの携帯電話を駆使して、情報を瞬時に集め、見知らぬ人ともやり取りができる世の中となっていた。

そう、こんな時こそTwitterを使用すればいいのだ。

ということで、藁にも縋る思いで「麻音 色紙」でtweetを検索したところ、目に映るのは「求:かなえ先輩、譲:麻音たん」の文字ばかり。

とどめを刺され、絶望しかけた私がTwitterを閉じようとしたとき、1つのtweet(光)が目に入ってきた。


「求:麻音たん、譲:かなえ先輩」


tweetしてからまだ間もなく、1人の人が反応を示してはいたものの、未だ契約は成立していない模様。

しかも何という事でしょう、その人、いや、そのお方、いや、その神様、偶然にも同じ劇場に観に来ていたのだ。


神はいた。


すぐさま交換をお願いしたところ、数分後に快諾して下さったゴッド。無事に映画を観終わってから交換する約束をして、私の心が凪いでいくのを感じた。



−完−



いや、そうじゃない。こんなキモオタが必死になってキモさがストップ高になった話を書きたかったわけではない。肝心の映画の内容、その感想を書きたかったのだった。

ということで、肝心の内容であるが、まず前々回の第1部では導入とぽっての進路について、前回の第2部ではのりえとかおるの進路についてだったため、予想していた通り麻音の進路の話から始まった。

三者面談にて、彼女は彼女なりに悩み、自分の将来について真剣に向き合った結果、自分の旅館を継ぎたいと述べたようだが、その場にいた彼女の父親は大反対。

たまゆらというのは、本当に、それはもう本当に優しさで構成されているんじゃないかというくらい、登場人物みなが気持ちのいい、いわゆる「良い人」しかいない。

彼女の父親も例外ではないため、観ていて「ああ、何か理由があるのだろう。きっと彼女のことを想っての反対なんだろうな。」とすぐに思い、麻音が最終的にどういう進路を選ぶのか、両親とどう話し合うのかを穏やかな心で見守っていた。

結局、案の定というか、彼女の父親は彼女が幼い時に言った「旅館を継ぐ」という父親との約束に縛られ、本当にやりたいことができなくなっているのではないかと危惧していたいう、なんとも優しい理由で反対していただけであり、その誤解が解ければあとは簡単。本来の彼女を全力で応援する優しいご両親に戻っていた。

こうして無事、自分の進路を決定した麻音。何やらやりたいことがいっぱいのようだったが、話の流れからするとおそらく経済学が学べる大学に進学するつもりなのだろう。



はい、この時点で『親の愛』というものを目の当たりにしてちょっとこみ上げてはきていた。が、まだ何とか大丈夫。

ただ、号泣は避けられたとはいえこの時点で大体まだ半分、まだ安心はできない。というか、あとはどういう展開になるのだろう?と思いながら観ていたら、なんと、ぽっての進路が実は第1部で終わりではなかったのだ。

ぽって中心の場面に切り替わってすぐ、ぽっての様子がおかしかったので何かあるだろうとは思っていたが、終わりの方になるまでどうもはっきりしない。

カメラが壊れ、みんなが遠くに感じ、憧れの写真家であるりほとは過剰なまでに距離を取ろうとするぽって。

挙句の果てにはすぐ直るといわれていたカメラがどうやらちょっと時間がかかるというではないか。これはいよいよもって穏やかではない。

おいおい、どうなるんだこれと不安に駆られるキモオタ。そこではい、来ました。かおるがぽってに向かって放った「本当は東京の学校に行きたいんじゃないの?」。

そこからはね、もう駄目だった。

必死に涙を堪えていたが、エンディングと共に彼女たちが竹原等で過ごした、楽しくて暖かい優しい日々の写真が次々とスクリーンに映し出された瞬間、目の端に若干の涙。そして若干の鼻をすする音。

いやこんなん誰でも泣くだろう。劇場じゃなかったら嗚咽を漏らすレベルである。

こうして見事起承転結でいうところの「転」がしっかりとお送りされ、たまゆらという物語の締めくくりである「結」、第4部 朝-あした-へと繋がっていく。

おそらく、ぽっては最終的には竹原を離れることを決意するのだとは思うが、一体最後はどう締めくくられるのか、公開は2月20日という事で、寂しい気持ちももちろんあるが、今から本当に楽しみである。



今回も流石のサトジュンといったところだろうか、全体的に非常に丁寧な作りだったように思う。

特に、少女たちの心の動きがしっかりと描写できていて、自分の将来のこと、かけがえのない友人達との別れを始めとした、環境の変化に対する不安、葛藤などが良く伝わってきた。

大人へと成長するために、全部のことに真剣で、一生懸命な彼女たちが本当に眩しくて、そんな彼女たちの成長を見守る周りの大人たちが本当に優しくて、素直に「素敵だなあ」と思えるような、そんな映画だったなと。

第4部で本当の本当に「たまゆら」という作品が終わってしまうようなので、寂しい気持ちもあるが、彼女たちが最終的にどういう決断を下し、どうなっていくのか、しっかりと見届けたいと思う。

第3部でこれだったのだ、第4部は例え劇場であろうと耐えられず、嗚咽を漏らして泣いてしまうだろうが、それは周りもおそらく同じだろうから、幾分か気持ち悪さが中和されることを期待したい。



ちなみに、私は以前竹原に聖地巡礼をしに行ったことがあるのだが、今回はその聖地巡礼の経験が見事に活きた。

場面場面で実際のその情景や雰囲気、匂いなどが蘇ってきて、観ていて2倍楽しかったのだ。

もしたまゆらファンの方で、まだ巡礼をしていないという方がいるのであれば、4部までに一度訪れることを強くお勧めする。