Lawless Area

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脂汗が止まらない


先日の朝のことである。

その日は家を8時に出る予定だったのだが、目が覚めて時計を見たところ7時45分だった。

確か目覚ましがなって時計を確認したら6時30分で、さあそろそろ起きるかと思ってもう一度見たらこの時間だったのだ。不思議なこともあるものだ。

そして人間やれば出来るというか、火事場の馬鹿力とはこういうことを言うのだろうか、20分と経たずに支度を済ませて家を飛び出すことができた。

この段階までは1話における物語の主人公のようだが、流石つい先日女性に「モブみたい(笑)」と言われただけのことはある、そのままめでたくゴールとはならなかった。



家を出て予定していた電車に無事間に合い、ホッと胸を撫で下ろしてしばらくしてからなのだが、何だか微かな違和感を覚える。

ただ、ここから目的地まで立ち止まらずに行かなければ、十中八九遅刻するという危機的状況だったため、そのまま無視をして乗り続けていた。というか急行なのでそもそも降りられない。

そんな感じで次の電車にも乗り換えたのだが、ここにきて違和感が更に強くなってきた。

今思えばこの段階で大人しく諦めればよかったのだが、まだ無視出来るレベルだったためそのまま乗り続け、いよいよ本丸である「快速線」に乗り換える。

さあ、ここから一気に普通列車をごぼう抜きだ、失った時を取り戻すんだ!と意気込んだのがいけなかったのだろうか、遂に来た、ビッグウェーブが。

そう、先ほどから徐々に強くなって来ていた違和感、別名便意が牙を剥いて襲いかかってきたのである。



しかし私は支度に20分という自己ベストを叩き出すほどに急いでいたわけで、降りる=遅刻確定なのだ。

この、進むも地獄退くも地獄という状況で私が選んだのは、耐え忍ぶ戦いの方だった。

ただひたすら、席に座りながら小刻みに揺れるその様は、傍から見ればさぞ音楽にノリノリであるように見えただろう。

快速に乗っていた約30分という時間が、永遠に続くような感覚を覚えたのは言うまでもない。途中、「相対性理論ってこういうことなのかな?」という現実逃避すらした。



結局、乗り換えまで我慢することに成功し、晴れて駅のトイレへと駆け込んだら全個室が閉じられ中に人がいる印である赤色が目に飛び込んできた。慈悲もない。

以前怒り新党で有吉氏が「とりあえずノックしてプレッシャーを与える」といっていたので私もやってみるが音沙汰なし。あ、もう無理だ。

そういえば、友人が以前ノロウィルスにかかった時に、駅のトイレで並んでる人に土下座したとか言ってたな、あれ、今やったら開けてくれるかな。

絶望の淵に立たされた私が個室にへばりつき懇願しようか検討していたその時、一番左のドアが開いた。

その時の私にはスローで開いたように見えるぐらい、救われたような気持ちになったのだが、人生そう上手くはいかない。


和式、懐かしの和式。


ここで私、さっきまで土下座も辞さない勢いで余裕がなかったにもかかわらず、他の洋式が空くのを待つことを検討し始めた。馬鹿なのだろうか。

そうこうしている間に、後から来た人に取られてしまうかもしれない。事は一刻を争うのだ。

こうして人間の尊厳喪失とやり慣れないヤンキー座りとを天秤にかけた結果、後者を選んだ私は何とか危機を回避できたのだった。

次からは、早く起きたいし、家で全部出し切っておきたいし、違和感無視しないし、快速には極力乗らないようにするし、乗っても途中で降りるし、和式に躊躇なく入りたい。もうこりごり。