Lawless Area

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ONE PIECE FILM Z-ワンピースフィルム ゼット-(ネタバレあり)


「ワンピースってマジ泣けるよね〜」なんていう人間が増えた昨今。

企業は売れるからとこぞってコラボし、世の中には関連商品が溢れかえっている。

もうここまでくると流石に萎えるというか、食傷気味になってくるわけで、ワンピースの映画なんて観に行く奴の気が知れない。



はい、ということで茶番はこれくらいにして、特典に釣られホイホイ観に行ってしまった。

悔しいが、特典をチケットもぎもぎしている職員さんから受け取った時、思わずニヤリとしてしまったので、これからはミスター思う壺と呼んで頂きたい。

関係ないが、上映が始まり、本編が流れる直前にリニューアルされた映画泥棒を観てテンションが上がってしまい、本編ではなくこれがピークだったらどうしよう何て考えてしまったのは私だけだろう。



さて、肝心の本編だが、冒頭にゼット役の芳忠さんによる歌が披露され、その渋い声と上手さに「おおっ!」と心を持っていかれそうになってからのー


篠原涼子


昔はバラエティに出ていたりとバラドル感が強かったが、今や立派な大女優へと変貌を遂げた彼女。

いや〜、演技、最高だったね!最高に棒読みだった!!ワーイ

というのは少し言い過ぎで、要所要所で頑張りは見て取れたものの、それでもやはり浮いてしまっているというか、上手くはなかったのだ。

ただ、香川照之のようにクセのある役ではなかった分、下手さが目立ってしまうので気の毒だったとも思う。

いや、良く考えたらむしろ頑張った方だったのかもしれない。

後半に差し掛かった火山の噴火に逃げ後れたモブ3人の、1、2行のセリフで酷い棒演技を聞いた後だとそう思えるから不思議である。気になった人は劇場に急げ!



話を戻して本編。

冒頭にゼットの強そーな描写からの格好良いOP、そしてそこから一転してルフィ一行の宴会の様子という構成、掴みはばっちりだと思う。

で、船上でゼットと一戦交えることとなり、ここで勝ってしまっては開始20分足らずで映画が終わってしまうので勿論負けるわけだが、ここはもうちょっとぼっこぼこにやられても良かったかなーと。

最初に徹底的にやられることで、「え・・・こんな強い敵に勝てるの・・・?」という絶望感を観ている人に与える事ができるし、最後に勝ったときの盛り上がりが違う。

とはいえ、この後のゼットについての情報収集〜2回目の敗北までの流れは悪くなかったと思う。



でだ、ここから最終決戦に向けて、クルーがゼットのいるところまで船で乗り込んでいくシーンがあるのだが、ここは少しインパクトが薄かったかなあと。

同様に尾田栄一郎が関わった作品である「STRONG WORLD」とどうしても比べられてしまうと思うのだが、あちらの方が乗り込んでいくときの魅せ方が上手かった。

もっとも、戦闘シーンで言えば今回の方が個人的には迫力があって良かったと思う。

「ゾロ VS アイン」、「サンジ VS ビンズ」はどちらもスピード感があって、見ていてワクワクさせられたし。

ただ、クルーの数が増えているので尺の関係上難しいとは思うのだが、欲を言えば他の仲間にもそれぞれ敵をあてがって欲しかったかなあと。どうしても雑魚との戦闘のみとなるとハラハラしないので。



とまあここまでは小姑みたいに苦言をいくつか呈してはきたが、概ね悪くない流れだった。

で、肝心の「ルフィ VS ゼット」 。

これも個人的にはそこまで嫌いじゃないというか、ああ、男のロマンが込められているなーと観ていて思ったものである。

海賊に対して、海軍に対して絶望し、半ば自暴自棄になっていたゼットだったが、ルフィと拳を交えることで「総てに絶望するのはまだ早い」という考えに戻っていく。

そして最後は拳と拳、(恐らくゼットがルフィの拳も黒腕化することで)条件を同様にしてからの殴り合い。

ベタではあるが格好良いと思う。

強い敵に対して、自分が同様のステージに到達するのではなく、相手の意識を変えることで同様のステージまで下ろすという描き方も良い。

ただ、お前素直に褒められねえのかよ性格最悪だなと思われても仕方ないが、一つだけ勿体無かったと思うのはゼットの心理描写。

あそこまで憎しみが強かったのなら、もうすこしルフィとの戦いで心が変わっていく様子を丁寧に描いて欲しかったなーと。

そうすることで、最後にゼットが1人で海軍の面々と戦い殉じるシーンが、更にグッとくるものになったのではないだろうか。



といった感じで、全体を通しての感想としては、


可もなく不可もなく


というところだろうか。

よく言えば安定しており、悪く言うと「うおおおおおお!!!」と観ていて血が滾るようなことのない、物足りない作品だった。

ただ、ワンピースファンであれば恐らく満足できる作品だと思うので、まだ観に行ってないという方は行って損はないと思われる。

ちなみに、特典ってまだもらえるの?と気になっている人は、こちらのサイトで確認した後、劇場に直接問い合わせるのが一番確実だと思う。