Lawless Area

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南極大陸(ネタバレあり)


実は密かに見ていたこの作品、ネットで家政婦のミタと比較されボッコボコにされている記事を良く見かけたが、私個人としてはそう悪くない作品だったと思う。

内容をざっくりと説明すると、戦後、敗戦国となった日本がまた世界と肩を並べて歩いていけるように、まだ殆ど手付かずでありスタートラインが同じと言える南極の観測に力を入れようじゃないか!という人たちが奮闘するお話である。ちょっとざっくり過ぎた。

構成としては、日本が南極観測実現にこぎつけるまで、南極に到達するまで、南極に越冬する過程、置いてきた犬達の安否やいかに、という所にそれぞれ見所があったのではないかと思われる。

基本的には「ど、どうなるんだこれは?!ダメなんじゃ・・・これはダメなんじゃないのか・・・?!」と思わせておいて、「ふぅ・・・何だよ、不安にさせやがってちくしょう」の繰り返しなので、1話ごとにハラハラしながら見ることができる。この点、BLEACHと良く似ている。

が、逆に言うと終始そんな感じなので、先が容易に読めてしまうし飽きてしまう人もいるかもしれない。



そんな見る人を選ぶ南極大陸だが、私は以下の点に満足していたので最後まで見ることができた。



まず第一に、脇役である演者の方がどの方も演技力があり、そしてとても良い味を出していたことが挙げられる。

特に氷室役の堺雅人の破壊力たるや、もし私が助演男優賞を授与できる権利があったら確実に彼に捧げていたと言えるほどすさまじかった。っていうかもう主演男優賞でも良い。

最初に「南極ゥ?はっ、夢見てねーで現実見ろやボケが」と一笑に伏していた彼が、「犬?そんなもん人間様に比べたらゴミ同然だろカス」と不遜な態度をとっていたあの彼が!

南極で1年過ごし、犬達に命を救われてあら不思議。最終的には誰よりも南極観測の重要性を唱え、犬を置き去りにしなければならないと分かるや否や「たった15頭の命を、どうして助けに行けないんだ!」と隊長に縋り付きながら号泣するんだからもうね、泣くよねこんなん。

彼ほどのツンデレを私は今まで見たことが無い。あれをツンデレと表現するのはちょっと違うような気もするが。

また、次点で白崎役の柴田恭兵も素晴らしかった。危なくない柴田恭兵の演技は一見の価値があると思う。



そして第二に挙げられるのが、犬達の名演である。

なんですかあれは、ひょっとして中にちっさい人が入ってるんじゃないですかと思ってしまうくらい、彼らの演技は素晴らしかった。

特にドラえもんでいうところのジャイアン的存在である風連のクマが、リーダーであるリキに「おう、お前ちょっと生意気なんじゃコラ」と噛み付いてからのリキの演技。

正直人間である私でもあんな怯えた演技はできないと思う。後で「あれは全部CGでした」と言われたほうがまだしっくりくる。



最後に、第三に挙げられるのが南極観測というテーマである。

戦後、肉体精神ともに弱りきった日本が、再び立ち上がろうとする中で夢を追い求めるあの感じ、非常にロマンに溢れている。

やはり誰もが「無理だろ・・・」と諦めてしまうようなことを、必死になって成し遂げようとするあの姿は、本当に素晴らしいし、私にはとてもじゃないが真似できない。お前も頑張れよという声が聞こえた気がするが気のせいだろう。

官僚たちの夏もそうだったが、どうやら私はああいう「戦後、弱りきった日本を再び強い国へ」みたいなテーマに弱いらしい。



というわけで、例え視聴率が期待したほど伸びなかったとしても、私としてはとても満足のいく作品だった。

が、窓のサッシを指でつーっと触り、埃をどや顔で指摘する小姑のような性格の私が、手放しで褒めて終わるわけもなく。

やはり面白かったとはいえ気になる点もいくつかあった。



まずはなんと言っても次回予告の仕方。

いくら視聴率を稼ぎたいからとはいえ、次回の動画と音声を別々に組み合わせて、視聴者を勘違いさせるような予告を見せるのはいかがなものか。

例えば、氷室が遭難した時あたかも死んでしまったかのような予告を流したり、犬小屋で眠る愛菜ちゃんの映像にお母さんの叫び声を重ねることで、あたかも愛菜ちゃんに何かあったかのような演出をしたり・・・

あれは、ダメだと思う。ダメ、絶対。



あとは、唯一内容で気になったのが、キムタク演じる倉持と氷室の過去。

一応山で隊長である倉持の判断で、氷室は助かったが代わりに仲間が1人死んでしまったことはわかったが、その時の様子を回想として一部始終描く等、もう少し厚く描写しても良かったような気がする。



とはいえ、前述した通り概ね満足しているので、興味が沸いた方には是非とも見ることをオススメしたい。

ただし、動物、特に犬が嫌いな人は全く感情移入できないと思うので、そういう人には余りオススメできない作品だと思う。