Lawless Area

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Angel Beats! 第13話(最終回)「Graduation」(ネタバレあり)


先週の「見知らぬ、天井」の続きから。

皆がまだ残っていたのはゆりを満足に逝かせてあげるためだったらしいが、もうゆりは満足していたのでそんな必要もなくなっていた。

何故消えなかったのかは甚だ疑問だが、きっとリーダーとして残りのメンバーが気がかりだったからだろうと、自分を無理やり納得させながら見ていたのは言うまでもない。

で、片手間にゆりと天使ちゃんを和解させ、ゆりや天使ちゃんの性格も最終回仕様に改変し、いよいよ最終回のメインとなる「SSS卒業式」へ。


移動中の鼻歌歌う天使ちゃんに思わず私も逝ってしまいそうになったが、この物語の落としどころが気がかりだったのか何とか踏みとどまった。

ちなみにこの世界、どうやらもう誰もいないようなのだが、NPC化した高松も無事戻ってきて人知れず消えていたらしい。扱い雑すぎる(笑)

しかもメインに向けての移動中に、まるで間を埋めるためのつなぎとして話題に上っており、同情せずにはいられなかった。


さて、舞台は変わって体育館。

ここまでかなりツッコミどころが多かったが、その中で唯一ゆりの性格が変わったことだけは納得がいった。

最終回はどちらかというと音無手動で行われるため、ゆりのリーダー気質が邪魔だったということもあるのかもしれないが、これまでゆりがああいう振る舞いをしていたのは「心残りがあった」ことと「みんなの思いを一人で背負っていた」ということがあったからだとも思う。

きっと本当のゆりはこちらの方で、もしそれが要所要所で顔を出していたらここまで天使ちゃんと差がつかなかったのではないだろうか。

強がっている女の子が、実は弱かったとか女の子らしかったって一番ベタな萌えキャラだしね。


と、そんな戯言を述べている間にセルフ卒業式が始まり、校歌ならぬ戦歌を歌うらしい。

歌詞は天使ちゃんが作ったらしいのだが、肝心の曲は無い。


音無「校歌って大体似たようなもんじゃん?適当に歌っとけば合うだろ。」


今まで校歌を作曲されてきた方々に謝れといいたい。

そして、天使ちゃんの歌詞酷すぎる。

以下その酷い歌詞。


お空の死んだ世界から お送りしますお気楽ナンバー
死ぬまでに食っとけ 麻婆豆腐
嗚呼、麻婆豆腐 麻婆豆腐


あれー、何だか凄く茶番です。

外から見たらただのごっこ遊びというか、自己満足以外の何物でもないのでは・・・

とはいえ、きっと本人達から見れば意味のあることなんだろうし、この世界から消えるためのけじめ的なものなのだろう。

だったら消す前に全員でやれよというツッコミは野暮かな。


そんないまいち感動できない卒業式も佳境に入り、音無による卒業生答辞。

主に音無がこの世界に来てからの思い出話と、ゆりを中心とした仲間たちへの感謝が述べられていたのだが、そこでずっと抱えていた違和感というか疑問が解消された。

やっぱりこの世界にはこの5人しか残っていない、と。

前回音無達のために戦ってくれた残りの主要メンバー、消える描写すらないのかよ(笑)


こうしてえげつない事実が判明しつつ、最後にお決まりの「仰げば尊し」を歌いオリジナル卒業式が終わりを迎える。

で、まず直井が音無に溢れんばかりの想いを伝えてどろん。

次はゆりが天使ちゃんに言いたいことを言ってどろん。

そして次は順番的に俺だろ?と最後まで空気を読んだ日向が、音無と熱いやり取りを交わしてどろん。


さて、残るはみんなのアイドル天使ちゃん。

このアニメがここまでもったことの半分は天使ちゃんのおかげと言っても過言ではないわけで、やはり消える描写も特別なものとなるらしく場所を体育館から移動することに。

期せずしてアダムとイブのようにこの世界で2人きりとなったところで、こうして音無は皆を騙し、消えることなく天使ちゃんと2人きりの楽園を築いたのだった。

って冗談で考えてたら本当にそんなこと言い出した(笑)

マジ天使である天使ちゃんを誘うのは当然だと思うが、全部音無の都合であり、彼女の意思を全く尊重していないのがなんとも気に食わない。

!?

ここで衝撃の事実。

何らかの関係があるとは思っていたけど、天使ちゃんはドナーの対象者だったらしい。

こうして天使ちゃんは着々と自分の想いを伝えていき、消える気満々。

一方の音無は相変わらずの駄々っ子っぷりを発揮しており、最後は告白してしかも「消えないでくれ!」。

音無さん・・・、某首相並みに発言がブレまくってますけど・・・

日向が消えるって言い出した時に「俺が先でも良いんだぜ?」って言ってたのは何だったんすかね。



こんな感じで最後の最後に飛ぶ鳥後を濁して、最悪な印象を残した挙句、消えたんだかすら定かではない感じで音無の戦い(?)は幕を閉じたわけだが、なんと勿体無い作品だったことだろうか。

まず、圧倒的に時間が足りない。

キャラクターそれぞれの過去や性格の描写をもっと丁寧にし、キャラクターそれぞれの関係性を明確にしていれば、容易に感情移入できいくらでも泣かせることが可能だったと思う。

また、先ほども述べたがゆりについての描写をもっと細かくすることで、とても魅力的な女の子に仕上がっただろうし、物語のヤマの部分(直井が改心するシーンやユイが消えるシーン等)ももう少し説明があれば盛り上がったのではないだろうか。

あと、最後に天使ちゃんのキャラクターを変えたのはいただけない。

やはり天使ちゃんは物静かな天然(世間知らず)で通すべきだった。急に感情を前面に出してきてかわいこぶられるとちょっと引いてしまうもの。

で、問題の音無。

これまでも別に良い主人公ではなかったとは思うが、それにしても最後のあの展開は酷すぎる。

せめて「本当はちゃんと消えようと思ってたのにな、いざ奏を送り出すとなると決心が揺らいじゃうな」ぐらいの説明は欲しかった。

いきなり告白し、いきなり消えないでくれってただの情緒不安定でしかないわけで。



通してみて思ったのは、やはりこれはアニメでやるべきではなかったかなと。

キャラクターそれぞれがきちんと機能するためには、そのキャラクターのルートに進むしかないわけで、そうするとどうしてもアニメでは限界がある。

だったら天使ちゃん一人に絞って作ればよかったのにと思わなくもないが、それはきっと嫌だったのだろう。

そうするとどうしても伝えられることは限られてくるわけで、ところどころにそのしわ寄せが来ていたように思える。

とはいえ、これだけ長々とレビューを書いたことからも、ネットで話題になっていたことからも分かるとおり、エンターテインメントとしては優秀だったのだと思う。

と、いうわけで、ゲーム化に期待。