君に届け 第11巻(ネタバレあり)
ふぅ・・・
前巻で風早と爽子はようやく思いを伝え合い、晴れて恋人同士となったわけだが、いやはやたまりませんな。
焦らされて、焦らされて・・・10巻分も焦らされたおかげで、その反動たるやものすごいものがあり、もうずっとニヤニヤが止まらないのなんのって。
こんな気持ちの悪い姿を妹に見られでもしたら、埃カスほどに残っていた最後の兄としての立場が綺麗さっぱり無くなってしまうこと間違いなしなのだが、にやけ顔が止まらんのですよ。
しかしこの作者、中々物語の構成が上手いというかなんというか。
普通この手の恋愛モノだとカップルになるまでの過程を楽しむもので、なってからというのは今ひとつ盛り上がりに欠けてしまい結局そのまま連載が終了してしまうなんてことになりかねない。
その点この作品はそういう心配も無さそうで、これからもまた山場を作ろうと思えばいくらでも作れそうな感じがする。
例えば、現在なんとなく匂わせているあやねとピンの関係や、くるみ関係の話、風早と爽子の関係がまだ初々しいことから第三者による爽子へのちょっかい等等。
まあ、個人的にはこのままスーパーニヤニヤタイムを続けてもらっても一向に構わないのだが、日本人の飽きっぽい性格を考慮するとこのままということはないだろう。
あと、上手いといえばこの巻で爽子と出会ってからの数日(多分1巻の範囲)を、風早目線でお送りしたというのも良かったと思う。
別に斬新な試みというわけではないが、今まではどちらかというと爽子目線でしか描かれていなかったため、あの時風早はこう思っていたのかという“納得”感がなんともいえない気持ちにさせてくれた。
くるみもただのかませ犬としてではなく、一人のキャラクターとして丁寧に描かれていたし、こういう細かいところまで行き届いているところがまたなんとも憎い。
唯一つ拍子抜けというか、微妙だなと思ったのはこの11巻の終わりかたぐらい。
今まではなんとなく続きが気になる感じで終わらせていたような気がするのだが、このまましばらく休載するかのような締め方だった。
とはいえ、この11巻の内容は全体的に良かったんではないかなあと。
爽子を中心として、メインキャラクター達の甘酸っぱい青春模様がとてもよく描かれていて、ほっこりすると共に悲しくなったぐらいである。
もしこのゴミだめの様なブログに不幸にも足を踏み入れてしまった高校生の方がいるのなら、私のように死にたくならないよう、一瞬しかない甘酸っぱライフを満喫して欲しいと思う。お前に言われなくてもという声が聞こえてこなくもないが。
いや、でもホントに後悔するから気をつけたほうが良いよ。